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質問への答え




質問:
造園はアメリカが進んでいる、というコメント読みメールを書かせていただきました。私は西アフリカのブルキナファソという国で環境保全活動を行っているNGOで働いています。砂漠化の進む土地で植林を行っています。こちらで生活をして3年がたち思うことは、この国の開発スピードに都市緑化や造園の技術が及んでいないということです。日本ではアフリカは貧しいと思わがちですが、首都の開発スピードは著しく、道路・住宅の建設ラッシュに伴い都市内の緑化が需要が高まっています。そういう状況をみ、いずれアフリカを舞台に苗木生産や造園業を営めないかと考えるようになりました。生活環境の緑化が環境保全の第一歩だと考えるからです。ただ私は造園に関する専門知識がなく、今から学ぶ必要があります。日本人として日本庭園の技術を学びたいとも思うのですが、アフリカを舞台するのであれば大衆に受け入れられる知識や技術を身につけたいと考え、調べているうちにこのサイトを見つけました。多くの国で通用する技術や知識を身につけるには、どの国でどの分野を学ぶことが一番効果的でしょうか?非常にあいまいな質問で大変恐縮ですが、もしよろしければお知恵をいただけますと幸いです。(テンポコさんより)


答え:
コメントありがとうございます。
非常にむずかしい問題ですね。私のクラスメートにもアフリカ人がエチオピア、ウガンダ、ガーナからと3名いて、彼等の研究分野からもアフリカの貧しさゆえのざまざまな問題、また急速な発展のもとで、緑化まで気持ちがまわっていないというものを感じています。(私達の専門は都市計画なので、緑化計画よりはスラム問題等に取り組むというのは、自然なようにも思いますが)
私がアメリカが造園で優れているといったのは、どちらかというと、デザインの視点でです。
ランドスケープデザインとかランドスケープアーキテクチャーとかそういったものでは、アメリカは歴史のなさから新しいものを受け入れつくる土台があるということですね。
わたしも個人的には日本庭園に興味がありますが、それは普遍的に他の国にも応用できるというよりは、どちらかというと、個人的興味といいますか、私のアイデンティティーの為というか、海外で設計していく人間として、自分のデザインの糧にしたいという思いからですね。
それと将来日本独自のランドスケープデザインとか都市緑化を計画していく場合には、日本庭園は多くの知恵を与えてくれるのだと思っています。
日本庭園はやはり歴史上、みなの生活環境改善のためのツールというよりは、一部のお金持ちのための家の発展上に自然を感じるものとしての庭という側面が強いのではないかと思います。もちろんそこから、発展途上国の緑化計画に行かせるヒント的なものはあるかとおもうのですが、構築された学問としては、その視点ははいっていないと思います。
日本で造園や緑化を学ぶにはたぶん農学部よりのところになるとおもいますけど、日本の場合は建築も造園も日本独自の伝統的なものは大学では学べない仕組みになってますから、(学ぶのは西洋から受け入れたもので、日本の伝統的なものを実践的にまなびたかったら師匠につくとかそういうのが一番だと思います)、むしろ大学では他の国にも応用できる普遍的なものを学ぶのではないかと思います。
もちろんテンポコさんのいままでの専門や興味にもよりますし、どこの国のどの大学学部が一番いいかとはなんとも言えないのですが、
もしかしたら、発展途上国支援も視野に入れた上でそういった緑地造園の専門分野を
教えているところがあれば理想的なのかもしれませんね。
ちなみにノルウェーでは発展途上国支援(Developing Studyといいます)を学ぶ課程はNTNU(私が属している ノルウェー理工科大)や オスロ大学にもありますが、
特別造園とか緑地計画に踏み込んでいるコースはないように思います。
ヨーロッパの国、オランダあたりは発展途上国支援に熱心なイメージがありますし、
イギリスも造園の歴史では深いですし、カナダやノルウェーは国の独自路線を自然に起因しているところがありますし(しかしもともと緑がおおい国なので、植林の捉え方、スキルはどうなんでしょうね)、いろいろ調べられて最善の道を選ばれる事を祈っております。
少しでも参考になりましたでしょうか。
by motokologic | 2007-06-01 21:22 | Landscape/ Urban pla
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