ノルウェー建築家協会の集まりに参加す。


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金曜日、ノルウェーの建築家協会の集まりに参加してきました。
もちろんはじめての参加ですし、協会メンバーにもまだなっていないので、これがどういう位置付けのイベントだったのか詳しくわからないのですが、最後に表彰式もあったので、一年に一回の学会賞の発表も兼ねた集会&勉強会といったところでしょうか。参加者は400名ほどであったと思います。

印象的であったことをいくつか書きたいと思います。

1. 協会会長が女性であった
ノルウェーでは会社の社長や組織のトップが女性であることは珍しくないのですが、もし日本建築学会のトップが女性になったら正直すごくおどろきますよね。多分そうなるには100年くらいかかるでしょうか。
しかし、以前「政治と都市計画」のページにも書きましたけど、トップは必ずしも成功した建築家とか言うんじゃなくて、たんに運営サイドでトップになった人という印象が強い。結構割り切ってると言うか、権力の集中を避けているというか。まあそんな感じです。(どっちがいいのかは謎)

2. ArupからいらしていたCharles Walkerと言う人の話がおもしろく、頭の良さにびっくり。
Arupというのはロンドンにある事務所で、建築の設計をしたり、外部の建築家の設計したものの構造デザインを担当したりする事務所。伊東豊雄のロンドンパビリオンの構造を担当した事務所といえば、分かりやすいかと思います。(あの緑色のボックスでギザギザみたいな構造体)

この集会は勉強会でもあるので世界各国(といってもヨーロッパ&アメリカ)から7名ほど講師陣を集めて、各自プレゼンしてもらうのですが、彼のプレゼンは一番面白かったです。

構造に対する自由な発想と探究心。でも印象的であったのは、幾何学や数学に裏打ちされた構造であって、無から何かを作るのではないのだなということ。丹念に構造をパターン化し、コンピュータで計算してゆく。いろんな例をたくさん試みるといった基本的な姿勢が自由な構造の実現を深く支えているのだと思いました。Walkerさんは見た目とても若く30代くらいに見えましたが、楽しくいきいきと仕事をされている旨伝わってきました。この事務所の今後は言わずもがな大注目です。

それから言及したいのは、彼が建築家であり同時にエンジニアである点。日本だと建築学科は工学部に属することが多いので、それは至極当たり前のように思うのですが、ヨーロッパでは違うのですね。私も日本では工学部の出ですし、卒業証明書の英語バージョンなんかをみると、
Bachelor of Engineerであって、建築という文字は出てこない。しかし今私が属している学部は学部自体がArchitectutre and Fine art (建築芸術学部とでも訳しましょうか)。でも取ろうとしている学位はMaster of Scienceです。あ、私の話はどうでもいいのですが、つまり、ヨーロッパでは建築は美術もしくは哲学的側面がつよく、構造の勉強が深くなされないということ。構造もしたければ、別にエンジニアの教育を受けなければならない。よってに、こういう協会に集まる人たちも一見して建築家の形相であり、お洒落感強し。世間で言う建築家のイメージをそのまま地でいく感じ。そして、構造計算はEngineerかCivil Engineer(土木家)に別注。
つまり人びとのグループとしては明確に境があり、現実の世界ではその境界を超えていく感じに仕事がなされる。その中で彼はデザインと構造双方をこなすものとして活躍されているようです。

日本の建築構造のエキスパートは建築士であるけれど、建築家を地でいく感じでない人は多いと思う。日本は地震が多いので、構造を建築教育に折り込むのはとても重要なことなんだと思いまする。

3.学会賞が橋
今年の学会賞はノルウェーとスウェーデンの国境近くの橋でありました。
上にも書いたように、建築と土木関係の協力関係によって実現した橋でありまして、施行はスウェーデンの会社であったようです。
上のパンフレットに用いられた写真は今回講師の一人David Nelsonさんが属するFoster&Partnerの作品。2kmの橋で全体的には円弧を描き、すごく美しいのです。

4. 全体的に学んだこと、思ったこと

今回の集会には直接関係はないですげ、デザインと構造双方をこなす方として、絶対的に美しく、建築・土木境目なくすばらしい作品を世におくり出しているのは、Santiago Clatravaではないでしょうか。正直構造を追求するあまりに本来の美の探求がおろそかになった作品が目にあまる昨今でありますが、この人の作品は本当に美しいですね。

あと、現代技術の発展にともない、本来の建築(例えば手で図面を引くだとか、地域の伝統素材を用いて建築す)といったことが、だんだんおろそかになって行き、それがださく時代遅れのものと捉えられがちになるのではないかという危惧。プレゼンになった時に、やっぱりこういうやり方は見劣りする部分があるのは否定できませんが、やはり本当の勝負は実際の建築においてなされるべきだということ。

講師の半分以上がEnglish speakerであったため、だいたいの集会の流れは分かりました。ノルウェー語も専門分野だけあって、一般的なものより理解できました。しかし、9時から始まり6時に終わる頃には脳みそも疲れ果て、そして特に知り合いもなく一人での参加であったので、精神的にも疲れました。しかし、初参加として業界を知るのには有意義であったと思います。とりあえず一歩という感じでしょうか。

多少疲れた頭を、「ルイス・カーンの全住宅」とB.ルドフスキーの「建築家なしの建築」を再読することで、気を落ち着かせ、本来私のすべき仕事へと舞い戻る準備としたいと思います。

Norsk arkitekters landsforbund
(National Association of Norwegian Architects:ノルウェー建築家協会)
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by motokologic | 2006-11-05 20:43 | Architecture
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